2000年代~

アニメ「平家物語」

今回は、貴族社会から武家社会に日本が歴史的転機の平安時代末期の激動の15年をアニメ化した「平家物語」ときめきポイントをレビューします。

アニメ「平家物語」をひとことで言うと

そうなんです。アニメ「平家物語」は、未来を見る少女と源平合戦を背景に繰り広げられる人間ドラマのアニメです。

アニメ「平家物語」のときめきポイント

アニメ「平家物語」のときめきポイントの総合点
ときめきポイント総合点は?|シニアアニメ美術館
ときめきポイント総合点

4.0でした!
アニメ「平家物語」の
ときめきポイント&アニメ詳細レビュー|シニアアニメ美術館
 

ここからはアニメ「平家物語」のときめきポイントと一緒に、レビューしていますね♪

ストーリーとレビュー

ときめきポイント

アニメ「平家物語」は、源平合戦を背景に繰り広げられる人間ドラマです。
日本を代表する古典文学である「平家物語」をアニメ化してあります。

京の都における平家の横暴から始まり、壇ノ浦における滅亡までを濃密に描いています。物語の語り手としてオリジナルキャラを配し、そのキャラクターの目を通した平家一門の栄枯盛衰は、仏教的な栄枯盛衰とは異なる世界として表現されています。

原作が琵琶法師による語りである事を踏まえ、びわという少女が狂言回しとして出てくるのですが、このキャラクターの描かれ方が圧巻なのです。

未来を見る不思議な力を持つ彼女は、平家の来たるべき滅亡を知りながらそれを見続け、その上でそこに確かに存在した「驕る平家」とは異なる人々の営みを語り継いでいくのだとする。

井沢元彦の『逆説の日本史』流に言うならば、この作品はまさに鎮魂の物語というべきでしょう。歴史の敗者、物語の悪役ではなく、その時代を当たり前に生きた、泣き、笑い、喜び、悲しむ存在としての普通の人々。

そんな平家が描かれているという点は、この作品の優れた点だと思います。一方で、このような普通の人々であった平家は、だからこそ源氏に滅ぼされたのだという、冷徹な歴史の視線もこの作品には存在します。歌を詠み、音楽を奏で、舞を舞う・・。

平家のこのような生き方を「公家の文化に染まり武士としての生き方を失った」と評する向きもありますが、平安末期という時代においてはむしろ平家の生き方の方が正しいと考える事も出来ます。

白粉を塗り、紅を差して戦場に向かう、それは平安末期の上流階級にとって、当然のたしなみでした。

しかしこの作品で描かれた時代は、そのような当然のたしなみが通用しなくなる歴史の端境期です。奇襲や騙し討ちこそが当然の本格的な武士が台頭し、歴史を大きく動かしていく大転換期。

もはやそれは、一人一人の人間ではどうしようもない歴史の奔流であり、だからこそ古い時代の最後を飾る平家は滅びざるを得なかったのだと描き上げています。

この作品に出てくる平家の人々は、皆一人一人は愛嬌のある良い人達ばかりです。そんな人達が、歴史の奔流に押し流されるように、壇ノ浦の海に沈んでいく様子は涙を誘うものがありました。

一方で、今の時代のアニメーションとして、現代の観点から描かれるキャラクターもいます。

最後は平家の人々の菩提を弔う役回りとなる徳子。平清盛の娘であり、安徳天皇の母親である彼女は、古典的な「家制度の道具」として女性として描かれてはいません。

彼女は清盛の娘でも天皇の母でもなく、一人の徳子として描かれています。
もちろん、原作の制約がある以上、彼女が自らの意志で何かを打開できるはずはありません。それでもこの作品に出てくる徳子は、時代に翻弄され社会に抑圧されるだけの女性としては描かれていませんでした。

自らの意志を持ち、自らの意志でもって子供と家族と自分自身を守ろうとする一人の強い女性として描かれていました。

そしてそれが叶えられないという事実が、悲劇をさらに劇的なものにします。

それだけに、最終回の最後に彼女が語る言葉は、この物語を締めくくるに相応しい静謐さでもって描かれています。

主なキャラクターとその声優CV

ときめきポイント

アニメ「平家物語」の主要なキャラクターと声優についてご紹介しますね。

  • キャラクター原案:高野文子
  • キャラクターデザイン:小島崇史
  • アニメーション制作:サイエンスSARU
    という豪華制作人がかかわっているのも見どころですよね。

 

キャラクター 声優
びわ
本作の主人公で、琵琶を抱えた少女。右目だけが青く、この目で「未来(さき)」を見ることができる。父親は盲目の琵琶法師、母親は白拍子だが消息不明。平家の館に忍び込み、重盛と出会う。その後は重盛に引き取られ、重盛の子供たちと暮らし成長していく。
悠木碧
平重盛
平清盛の子で、平家の棟梁。亡者が見える能力を持ち、びわに共鳴する。清盛の野望に疑問を抱きながらも忠義を尽くす。熊野参詣で自らの命を縮める祈願を行い、その後病死する。
梶裕貴
平維盛
重盛の次男で、資盛・清経・敦盛の兄。びわとは幼馴染みであり恋仲でもある。頼朝追討の総大将となるが、富士川の戦いで夜襲を受け大敗北する。屋島から離れて滝口入道のもとで出家し、補陀落渡海を遂げる。
鈴木達央
平資盛
重盛の三男で、清経・敦盛の兄。びわとは幼馴染みであり兄妹のような関係。重盛や清経と違って亡者が見えないことにコンプレックスを抱く。壇ノ浦まで生き残り、びわに屋敷から出ていくよう命じる。
中村悠一
平清盛
平家一門総帥で、重盛・知盛・重衡・徳子・盛子の父。娘の徳子を高倉天皇に入内させ、安徳天皇を即位させるなどして栄華を極める。しかし天災や妹・娘・息子たちの死によって次第に衰退していく。熱病で死去する。
小野大輔
平徳子
清盛の娘で、安徳天皇の母。高倉天皇に入内し、男子を産むことで平家一門の地位を高める。しかし父や兄たちの死によって孤立し、壇ノ浦で安徳天皇とともに入水しようとするが、びわに止められる。
早見沙織
後白河法皇
平安時代末期の天皇。清盛の野望に反発し、平家打倒の陰謀を画策するが失敗する。清盛に幽閉されるが、後に和解し、源氏に平家追討の院宣を出す。大原御幸で出家した徳子の元を訪れる。
大塚明夫
源頼朝
伊豆国に流されていた源氏の棟梁。法皇の院宣を受け取り挙兵する。平家を根絶やしにすることを決め、義経を派遣する。
細谷佳正
源義経
頼朝の弟で、武勇に優れた武将。義仲を討ち、一ノ谷・屋島・壇ノ浦で平家を打ち破る。
花江夏樹

 

テーマソング・作曲

ときめきポイント

アニメ「平家物語」の音楽は、牛尾憲輔さんが担当しています。牛尾憲輔さんの特徴的な音楽が存分に活かされています。琵琶の音色や雅楽の音色を現代的なサウンドと融合させた音楽は、平家物語の物語をより一層引き立てています。

オープニング・テーマは羊文学さんの「光るとき」、
エンディング・テーマは牛尾憲輔さんのソロユニット、agraphさんによるANI (スチャダラパー)のラップをフィーチャーした「unified perspective」です。

オリジナル・サウンドトラックは、雅楽器や弦楽、ポストロックや電子音楽など、国や時代にとらわれない豊かな音楽が収録されています。2022年1月5日にヴァイナルとCDでリリースされました。

総評

ということで、すべてのときめきポイントを総合すると、4.0でした!

アニメ「平家物語」は、アニメ「平家物語」は、鎌倉時代の軍記物語である『平家物語』を古川日出男さんが現代語訳した版を底本として、監督:山田尚子、脚本:吉田玲子で、サイエンスSARUが制作した2022年1月から放送されたテレビアニメです。

物語の語り部となる琵琶法師の少女「びわ」が主人公に据えられており、彼女と平家の人々の交流を軸に、時代に翻弄されながらも懸命に生きた人々の群像劇として描かれます。

この作品は特徴的な絵で、今風のアニメの絵とは少し違う雰囲気なので、普段アニメを見慣れていない人にも見やすい作品ではないかと思います。一般的な「平家物語」のイメージとは異なる観点で描かれている部分も多く、原作を知っている人でも十分に楽しめる内容だと思っています。

去年の大河ドラマで取り上げられた時代にも近く、平安末期から鎌倉初期にかけての日本史に興味を持たれた方であれば、是非とも見ていただきたい作品です!

最近のアニメをよく見る人にとっては、逆にとっつきにくいビジュアルかもしれませんが、このようなアニメの存在は日本のアニメの多様性を示すものであり、そういった観点からも注目に値する作品だと思います。

また、悠木碧さんのファンなら必見です!オリジナルキャラクターのびわを演じる悠木碧さんの琵琶語りは、凄いというか流石はプロという感じでした!当然監修の人はいるのでしょうが、それでも「平家物語」をどのように語るべきかという製作者側の問い掛けに、役者として最高の演技をもって応じているというのが分かります♡

この記事がアニメ「平家物語」を視聴するきっかけになれば嬉しく思います。一緒にアニメで人生を豊かにしましょう!